近年、医学部に一般入試ではなく、地域枠を使って受験する人が増えています。以前までは地域枠というのは、地元出身者だけが受けられる制度だったのですが、近頃は出身に関わらずに全国から受験できる大学も増えていることが増加の一因です。
地域枠受験とは何かよくわからない人が多いと思います。簡単に説明すると、卒業後にある地域で働くことを強制される代わりに、様々な恩恵が得られる制度です。
今回は、医学部の地域枠についてさらに詳しく説明すると共に、メリットとデメリットを比較したいと思います。
地域枠とは?
地域枠で受験すると、卒業後はその大学のある地域やその周辺で働くことが義務付けられます。その代わりに在学中の授業料が安くなるなどの恩恵があります。
例えば、岡山大学の地域枠は岡山、鳥取、広島、兵庫の四つあり、そのうち岡山枠から受験して合格すると、在学中に岡山県から奨学金が毎月20万円支給されます。この奨学金は、卒業後に岡山県が指定する病院に、在学年数の1.5倍の期間勤めれば返済する必要はなくなります。
月20万円も支給されると考えるとかなりいい条件に聞こえますが、実際のところはどうなのでしょうか。次に、医学部の地域枠のメリット、デメリットについてまとめていきたいと思います。
地域枠のメリット
①一般入試よりも受かりやすい
地域枠は、指定された地域の戸籍を持つ人だけしか受けられないなどの条件があるため、一般入試よりも倍率が低く、受かりやすいと言えます。
ただし、地域枠の方が合格点が低いわけでは無いようです。
②入学後に金銭的な援助がある
地域枠で合格すると、在学中に奨学金がもらえ、卒業後に大学の指定する地域で一定期間働き続ければ返済は求められません。
東京都では順天堂大学・杏林大学・東京慈恵会医科大学の3大学で地域枠入試が行われ、学費全額と月10万円の生活費が貸与されます。
地域枠のデメリット
デメリットは、卒業後の進路を自由に決められないことです。
奨学金を受け取る代わりに、大学が指定した病院で一定期間働かなければなりません。途中で医者を辞めたり、指定されていない病院に移ると、違約金として数千万円支払わなければなりません。
指定されるのは病院だけでなく、診療科も地域で不足しているところに回されることが多いです。在学中に自分が興味のある科に出会っても、希望の科でのキャリアは積みにくいです。
まとめ
地域枠のメリット、デメリットをここまでまとめましたが、細かい条件は大学によって違います。
地域枠入試を受けられる人の条件、倍率等をそれぞれの大学のホームページでしっかり確認することが大切です。