医学部を目指す人の中には、臨床医になりたいのではなく、将来研究の道に進みたいと考えている人もいるでしょう。
そこで気になるのが、どこの大学が研究をするのに最適な環境なのか、ということです。
今回は、大学の研究力ランキングについて調べてみました。
研究力の測り方
研究力の測り方に定義はありませんが、よく比較される材料として、論文生産数、Top10%補正論文数などがあります。
論文生産数は、研究量に比例し、研究が盛んに行われている大学ほど論文生産数は多いです。
Top10%補正論文数は、論文が他で引用された数を順位付けした時に、上位10%に入る注目度の高い論文の数をいいます。これは、論文の質を表します。
論文生産数とTop10%補正論文数の両方を考慮して、文部科学省直轄の研究機関である科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、大学の研究力を階層分けして発表しています。
医学に関わる研究には、基礎生命科学分野と臨床医学分野があるので、両者についてNISTEPの階層分けを見ていきたいと思います。
研究力ランキング
基礎生命科学分野
[V1]世界シェア0.5%以上 | [V2]世界シェア0.25%以上0.5%未満 | [V3]世界シェア0.1%以上0.25%未満 | |
[Q1] 12%以上 |
東京大学 | 大阪大学 | |
[Q2] 9%以上 12%未満 |
京都大学 東北大学 |
慶應義塾大学 名古屋大学 東京医科歯科大学 岡山大学 千葉大学 神戸大学 |
|
[Q3] 6%以上 9%未満 |
北海道大学 九州大学 |
筑波大学 |
※表は、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015-大学の個性活かし、国全体としての水準を向上させるために-」をもとに作成
VクラスとQクラスに分けられており、Vクラスは論文数の世界シェアによる分類で量を表し、QクラスはTop10%補正論文数の割合で質を表します。
注意点として、基礎生命科学分野は、農学部、薬学部などでも研究されているため、医学部以外も含みます。
表を見ると量、質共に東京大学がトップに君臨していることがわかります。
臨床医学分野
[V1]世界シェア0.5%以上 | [V2]世界シェア0.25%以上0.5%未満 | [V3]世界シェア0.1%以上0.25%未満 | |
[Q1] 12%以上 |
東京大学 京都大学 |
慶應義塾大学 | |
[Q2] 9%以上 12%未満 |
大阪大学 | 東北大学 北海道大学 名古屋大学 東京医科歯科大学 東京女子医科大学 横浜市立大学 九州大学 筑波大学 広島大学 熊本大学 自治医科大学 岡山大学 金沢大学 千葉大学 |
|
[Q3] 6%以上 9%未満 |
順天堂大学 新潟大学 神戸大学 長崎大学 |
※表は、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015-大学の個性活かし、国全体としての水準を向上させるために-」をもとに作成
基礎生命科学分野と同様、東大、京大、阪大が上位を占めています。
まとめ
東大、京大、阪大は、国から補助される研究費用である研究費ランキングの上位三位に入ります。研究費が多い分、研究力は強くなります。
ただし、研究力だけで大学選びをするのはお勧めできません。例えば、臨床医学分野といってもがん、エイズ、遺伝性疾患、細胞療法、遺伝子治療、再生医療など様々な分野に分かれます。将来研究職に就きたいのであれば、まずは自分が何の分野に興味があるのかをはっきりさせることが大切です。