昨年、米ハーバード大学医学部の研究グループが、医学生の中でうつ病、抑うつ症状、自殺願望を持っている割合について調査したところ、驚きの結果が出ました。
なんと、医学部生の27.2%がうつ病か抑うつ症状を抱え、11.1%が自殺願望を持つとのことでした。
研究の詳しい内容
この研究は、2016年の11月に米ハーバード大学医学部の研究グループが、世界五大医学雑誌の一つである、米医学誌「JAMA」に発表した内容です。
研究の方法としては、43の国で行われた167の横断研究と16の縦断研究を全てまとめました。
横断研究とは、ある集団のある一時点での疾病等の有無と要因の保有状況を同時に調査する方法で、縦断研究とは、特定の個人もしくは集団を、一定の期間追跡し続けることによって、その変化を調査する方法です。
結果は、医学生の中でうつ病と抑うつ症状をもつ割合は27.2%でした。(ただし、研究によってばらつきがあり、95%信頼区間で24.7%から29.9%)さらに、医学部入学前と後を比較すると、後の方が抑うつ症状を持つ割合が13.5%も増加していました。
これほどうつ病の症状を持つ学生の割合が多いにも関わらず、うつ病の検査で陽性と出た後に精神科を受診した医学生は15.7%しかいなかったということです。
そして、自殺願望を持つ学生の割合は、11.1%でした。
研究結果を受けて
海外の健康情報サイトによると、世界のうつ病の症状を持つ人の数は、一億二千万人と推定されています。世界の人口は約70億人なので、約2%の人がうつ病の症状を持っていることになります。
医学生のうつ症状を持つ割合は、27.2%ということでしたのでいかに高いかがわかるかと思います。
原因としては、
- 勉強の多さ
- テストの厳しさ(一つでも落とすと即留年かつ量が多い)
- 解剖実習や病院実習によるメンタルダメージ
- 偏差値が高いことによるプライドの高さ
- 6年間共に過ごす医学部村社会の人間関係のもつれ
などが考えられます。
実際、医学部内は心労が多く、うつ病になる人はいてもまったくおかしくありません。
しかし、将来自分が患者さんを治療する立場になるというプライドがあるため、なかなか受診という考えには至らないのかもしれません。
学生が自分の力でなんとかする、というよりも学校側が相談室を設けるなど、積極的に学生のメンタルケアを行うように心がけるべきだと僕は思います。